国土調査実施地区の実状と公共座標について


 県下の国土調査を実施した地域については初期の国土調査から現在実施中の町村まで
様々で、測量機械および製図機械については飛躍的に進歩をとげています。1筆地について
は数値測量となり境界の復元についても容易で、我々、土地家屋調査士の仕事は皆無となり
数値センターのみが活躍するかもしれないといった危ぐの念さえある。

 しかし、住民の評判はどうかというと、残念ながら「国土調査はあてにならない、なにせ私達
土地所有者は境界について立ち会いをしていないし、まして遠方にいる者はなおさら、立ち会
いをしていないよ。」と言う声を私達土地家屋調査士はよく現地で耳にする。また、聞くところに
よると時代の最先端をいっている1筆地の数値測量を実施した町村の中には数値の閲覧を拒
否するところもあると聞いている。

 精度の悪い代名詞のような昭和50年前後の国土調査実施町村で業務を行っていると、依
頼人から土地の測量を依頼される都度前記の国土調査の悪口は依頼人から挨拶がわりのよ
うに聞かされる。

 しかし、このような国土調査といえども現在では法17条地図として立派に社会的に一人だち
しており1土地家屋調査士としてはこれを拒否することは出来ない。

 したがって、法17条地図と申請地が合致しているかどうかがまず最初の問題となる。

 まず、そのためにはどうすれば良いか、国土調査の測量は基準三角点から図根三角点を作
成の後、基準三角点や図根三角点を結ぶトラバース測量により図根多角点を作成し、その点
より平板またはトランシットにより1筆地を測量しているので、申請地の近隣の図根多角点に
目星をつけ、まず、現地に残っているかどうか探す。

 国土調査実施町村に行き図根多角点の網図とその座標値を閲覧し、図上の読み取りをした
1筆の境界の座標値と探し出した図根多角点の座標値によりST計算を行い国土調査時に測
ったであろう境界を復元し依頼人および隣接者に目で境界を確認してもらうことから始まる。

 案外、復元してみると、「アリャ、大体エエとこにくらい、国土調査もチャント測っとるとこもある
んじゃなぁ」といったことになる。測量については専門家が測っているのでそうそう間違ってはい
ないはずであるが、大量の境界の確認を急ぐあまり、所有者の立ち会いが間に合わず地域の
代表者が代理で確認をしたり、現況の境界で処理をしたものが随分あるようだ、しかも復元作
業やトラバース測量に必要な法17条地図に記載されている石の表示の図根多角点であって
も、国土調査実施後の国による検査のため現地に無いが図面にのみ表示されているものや、
測量の時点では木杭であったがコンクリート柱や石を入れ直したため測量した位置からズレて
しまって精度が悪いもの、道路や河川の拡張により忘失したもの、道路の中にはあるがアスフ
ァルト舗装の下になっているもの、また、民地に設置したものは建物が建ったり、ブロック塀が
できたりして現在では容易にさがしだすことが出来なくなっています。

 そのため市街地では、2個以上の図根多角点がお互いに見通しの良い場所にある位置のも
のをさがしあてる事が出来るのはよほど珍しい事といえ、多少遠方であっても少々無理をして
状態のよい図根多角点から開放トラバース測量で申請地に機械点をつくり、その座標により境
界点を復元する事となりますが、精度という事から考えると疑問に感じたりします。

 こういった事から、わざわざ自分の測量の精度を下げてまで図根多角点から測量して公共
座標で測量しなければならないのだろうか、法17条地区といえども、公共座標は原則である
ので、任意座標で現地の近隣の国土調査時点から動いていないと思われる構築物を多数とっ
て現場に当て込みをしたほうが、経済的にも、時間的にも良いし、間違いだってないだろうと考
えて実行されている方も多いことでしょう、この考えに異論をはさむ気持ちは全くありませんし、
間違っているなとどとは毛頭思いません。

ただ、第三者の目で利害関係なく、冷静に境界を復元する事が出来るのはやはり、公共座標
であろう、しかし、先ほど申しましたように図根多角点にはいろいろ問題があります。そこで、順
番とすれば図根多角点がダメなら図根三角点があるさ、となりますが、やはり、図根三角点か
らの測量というと皆さんなかなか抵抗が有るようで、

「何も、そこまでしなくても」。

「やりたいが、各種の補正計算もあるし、方向角の取り付けのために、もう1個三角点を探さな
くては成らない、また、三角点同士の視通しがきかないし」。

「測量の機材がチャンとしたものがいるからなぁ」。

「パソコンのソフトに基準点のシステムをいれていないから」

等々いろんな意見があるようですが、

 もし、三角点からの測量が比較的簡単にできるとしたら、三角点から結合トラバース測量を
すれば、そのトラバース点はすべて現場に対しての引照点になり、路線の近傍に対しては測量
の準備を終えたことになります。

 光波測距儀の発達でいきなり三角点同士を視通して距離を測ることが可能になっている時
代です。将来に向けての先行投資です、そう思って1回やってみて下さい。17条地区以外の
方でも広い範囲で測量をされる場合は三角点を使用したほうが精度もはっきり分かり安心す
ることができるのではないでしょうか。

 我々は測量の理論については無知でありますが、逆にその無知を逆手にとって、実際に応
用できる測量方法と計算方法を考えたいと思います。もちろん、測量のエライ先生方には怒ら
れる理論や方法であり、ものによったら考えの間違っているものもあろうかと思います。
 勿論、最良の方法や理論はすでに権威ある測量の本には記載されている通りの方法であり
ます。
 しかし、そこまで行き着くためには邪道であるかもしれませんが、これから述べる方法や計算
方法も許されるのではないでしょうか。
 当然ながら正規な方法から言えば信頼性には劣ります。
 実行する努力があれば、もう少し頑張って正規の方法でやったらどうだというお叱りもあると
思います。
 しかし、いきなり、100パーセントを求めたために、何もしないよりも、半分以下の成果かもし
れませんが正規の方法に近い事を実行し、まず慣らし運転をして、チャンスを見て100パーセ
ントの成果にしてもいいのではないでしょうか。

 また、それだけの上昇思考で実行されれば当然、もう少し良くしたいという欲もでてくるはずで
す。 


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