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地図の種類 登記所における地図については、大きく分けて3〜4分類がそなえつけられていると考えてい る。 まず第一は、明治時代に作製された旧土地台帳附属地図。これは、土地の課税を国税とし て徴収する目的で作製されたものであるが、その精度区分については、作製を担当した郡役 人(現在の県または市町村担当職員)の考えにより、全国まちまちであると文献には紹介され ている。 全国的には当初の図面を元に、数回の更正図(現地における再調査後に作製された図面) が作製され、それを当時の地図行政の役所である「税務署」「市町村役場」「地元有力者(現在 は土地改良区長等に引継ぎ)」の3部が作製され現在に至っているものである。 その作製の際には、一筆毎の丈量図を作製しその集合を地図にまとめたものであるが、香 川においては、その1筆丈量図が残っているところもあり、現地をほぼ復元できる精度の高い ものであり、国土調査により道路拡幅を取り込んだ地籍図よりも原始境界の復元と言った意 味ではよほど正確であると言える。 第二に、大正から戦後における農地の耕地整理地図が、農業生産の向上を目的として作製 されている。この事業の際に地図行政の役所にその手続きを了していないものが散見される。 精度区分については、現地を把握したものとなっており、現在の精度区分に照らし合わせて も「甲3」区分程度のものが見受けられるが、残念ながら現地の復元としては、その地域全体 から復元をしなければ、対象できないものである。 そして第三は、昭和27年からの国土調査法による地籍図・土地改良図であるが、その現地 調査方法・測量精度からしてこの地図を同一の区分として対応することには無理があると思わ れる。 当初の地籍図等については、昭和の地租改革とも言われるとおり、現地において新たに地 図を作製することを目的としており、従前の地図との調査を行わないで作製したため、公図と の経緯を無視した恰好となり、多くの地区においては、現地混乱(一般的には地図混乱と言わ れている)地区となり、地図に携わるものの多くが頭を痛めている問題を生じている。 最後に第四としては、昭和52年以降の不動産登記法事務取扱手続準則が規定された後に 作製された、国土調査における地籍図等である。 この地図は、基本的には公図と土地測量図を照合し、調査素図を作製し、これを現地と照合 して、地図作りが行われているものである。 しかし、ご多分にもれずその成果については、担当職員の認識により本来の精度に差異が 生じているものであり、登記所の職員はその見極めに苦労している。 法17条地図 第三・四の地図については、「法17条地図」の指定を行っているものの、一部地区について は、法17条地図から除外するべきである地図もあるが、一度指定してしまうと、その除外方法 は規定されていないため、対応に苦慮しているものである。 現在、松山局においては作業機間が公共嘱託登記土地家屋調査士協会による国土調査法 19条5項を利用した地図を法17条地図として受入、徐々に本来の法17条地図が増加、更に 国土調査による数値法の図面が法17条地図とされている。これらの17条地図と従来の法1 7条地図について、格差が生じている事も事実である。 地図の現状 公図については、農耕地と住宅地については、ほぼ現状と合った地図であるが、農道・水路 についてその幅については、現地の幅で作図・着色されたものと、縮尺の関係でそうでないも のがある。 愛媛においては、上記更正図を作製しないで、畝順帳の肩書を更正したものが多く、登記所 においては、その結果が反映されていない地図が事務処理に供されており、調査士さんが苦 慮しているものである。 市町村では、旧土地台帳当時の申告書を保管されているところでは、地図訂正の重要な資 料(確定的か?)となっている。 国土調査後の地図訂正 地籍図の修正については、実施市町村においては、応じていない所もあると聞いている。 確かに、前述のとおり国土庁・法務省において、実施当時は安易な調査・測量で構わなかっ たものが、現在となっては取組が違うため、その方法による調査と同様の修正を必要として も、その予算・対応職員の措置ができないことも事実であろう。 また、一部を訂正するとその地区全体に関わる(道路後退の取り込み等)訂正となり、新た に国調を行うことと同様の事務となることが当然に予想されるものである。 しかしながら従前の地図との相違により、登記所の地図を訂正しないと銀行融資ができない ため、融資の必要から、個人がやむを得ず多くの費用と長期間を要してその訂正をしている 現状である。 登記所の地図訂正に対する考え方が、従来の誤った指導(?)による国調と、現在の国調と の訂正方法に差異はなく、手続きの煩雑さから敬遠されていると思われるが、その改善策に ついて根本的な協議を行う必要がある。 測量図の訂正 現在昭和60年より以前の測量図の提出されている土地の表示に関する登記をする場合、 殆ど測量図訂正を要する事案が多く、相談があるたびに「土地をさわる時は、測量図の提出さ れていない土地をさわらないと、時間・費用が掛かるし、その訂正方法を相談されても、担当 登記官が代わるたびにその処理方法が違うため、困ってしまう。」と言われることが多いが、確 かに担当していてもそう思うから困ったものである。 今後の地図に対する対応 現在の経済の動きからすると、登記法には「登記所に地図(法17条地図)を備う」となってい る以上、権利の客体である土地を把握するためにも、より積極的な事務処理が求められるた め、登記所の職員と調査士さんが協力してその対応を行う必要がある。 そのためにも、現在保管されている地図に隠されているその裏側(問題点)を的確に把握し、 便宜的な処理のみによることなく、少々時間・費用が掛かってもその訂正をより積極的に行う 必要がある。しかし、その訂正を個人ができるものではなく調査士さんに依頼することとなる が、またその費用が膨大になってしまうこともその処理がなかなかなされない一つの問題点で もあろう。 登記官としては、より確実性を高めるあまり、要求する書類が多くなり、必然的に費用がかさ んで来ることが考えられるが、登記官の実地調査権の発動により、若干は解消出来ると考え られるが、いかんせん登記所の職員数の現状では、積極的な実調を行うことは難しいものが ある。 また、不動産をめぐっての殺人事件の発生により、実印の登録を廃止している人も少なくな く、現地においての立会いが増加している事もその一因となっている。 法17条地図の精度 今まで述べた様に、登記所に備え付けられた法17条地図といえども、その作成された時代 を反映しており、理想的といえる地図から、17条地図から除外したいものまで様々であるが、 この取り扱いについても国土調査地区の調査士さんからも指摘があるように、地図が作成さ れた当時の精度区分をそのまま現在においても適応しているという問題がある。 例えば昭和40年代に作成された法17条地図(地籍図)の精度が「甲3」であれば30年を経 過しようとしている現在においても「甲3」として取り扱われており、測量機器の進歩を考慮せ ず、現在測量図を作成し、その地図と比較すれば、当然のようにその精度区分内に納まらな い事は明白であり、その事が地図訂正や地積更正を必要とするから、満足な法17条地図とし て取り扱う事が出来ないといった理由にもなっている。 これは、登記所サイドの問題が多分にあると思われる。国土調査による精度区分で作成さ れた地籍図が法17条地図として登記所に備え付けられたら、地図の手入れを行うことは勿論 であるが、時間の経過とともに、その地図自体の精度区分が現在はどの精度区分なのかとい う事を明確にする必要に迫られていると思う。 同様な事は公図において充分経験しいるはずであり、何故法17条地図が必要とされたの か、その原点に帰って考えるべきであろう。 表示に関しては、その登記官の勤務経験により差が大きく、その事務の統一を要望される事 が多いが現実的には無理である。 ともかく、地図・表示登記は生き物である。 その対応についても、表示担当登記官の決断(気分感情に左右されることが多いが)に期待 するものである。
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