申請人からの苦情

(登記官の独り言3)

分筆する土地を誤った事例

事案

 昭和30年当時に分筆して分譲を行ったが、地図に記載されている地番が同一所有者であっ
たため間違って現地と左右反対となっており、その後に一部分筆して道路買収がなされてい
る。

 その測量図については、登記所に保管がなく、申告書についても市町村も廃棄しており、従
前所有者も死亡していて分からない。

 市町村の公図の副図については、新たに独自に地図を作製したため、廃棄処分されてい
る。

 添付書類としては、関係所有者の印鑑証明付きの上申書のみである。

 現在取り壊した建物については、所在地番を誤ったまま登記が行われており、現在売却の
予定物件である。


 ある調査士さんからの地図訂正で、本番を変更する地図訂正が提出され、書類調査の結果
取下げ(中止)処理となり、中止後2〜3ケ月して、12月の中旬当該土地の所有者から、登記
官を指定した相談が窓口担当者から連絡があった。


所有者 ○○さんを御存知ですね。

当方  その人については、承知していない。

所有者 そんなことは無いはずた。

当方  いや、承知していない。


  そんなやりとりが数回あり、


当方  それは氏ですか。または会社等の商号ですか。

所有者 (書類を見て)、□□○○さんですよ。(怒ったような口振り)

当方  その調査士さんなら当然承知していますが、どのような内容の相談ですか。

所有者 ○○さんから、あなただけの反対により、地図の訂正ができないときいている。なぜで
     きないのか。


  そして、その地図訂正の書類を確認した後に


当方  現地においての専有状況は、あなたのおっしゃる通りかもしれないが、当方の地図に
     おいては、どのように調査しても、もともと別の場所・地番を目的として分筆登記が行 
     われ、現在に至っているものと思われるため、分筆錯誤等の処理により、所有権移転
     等でなければ専有状況と合致しない事案で、地図訂正では出来ないと言う事です。

所有者 当初(昭和30年当時)の登記が誤っているなら、登記所の責任で訂正をすべきであ 
     る。公務員は国民のためにあるのだから。

当方  当初の誤りであっても、それは申請人(売主)・調査士からの申請であり、それを見過
     ごした登記官にも当然責任の一端はあると思われるが、現在の段階では、登記官は
     職権で訂正等はできない。費用等の問題についても、国(登記官を相手に訴訟を   
     して、その結果により国が支払わなければならない場合にのみ、その対応となる。


  そんなやり取りが数回続いた後、


所有者 お前では話にならない。責任者を出せ。

当方  表示登記の処理については、わたしが責任者である。

所有者 だめだ。もっと上の者を出せ。

当方  では、上司に加わってもらいます。


  統括登記官が加わった後


所有者 登記所が間違っており、わたしが困っているので、登記官にその処理をするよう指導
     をしてくれ。

統括  その内容については、担当の登記官が説明したとおりの手続きをふまないとどうしよう
     もない。

所有者 (いきり立って)局長を出せ。

当方  事務処理の内容でいちいち局長に対応はしていない。

所有者 お前らじゃ、話にならない。局長を出せ。局長に合わせないなら、マスコミに投書し  
     て、警察にも告発するが、それでも良いか。あなたには、良心は無いのか。

当方  良心うんぬんではなく、処理できるものは処理するし、できないものはできない。あなた
     が、マスコミに投書しようが、警察に告発しようが、登記官としてできる事案について 
     は、当然処理するが、できない事案については、当方も処分を覚悟して処理をするこ
     とはありえない。

所有者 この処理をしてくれるまで、毎日くるがそれでもいいか。

当方  それは自由だが、毎日来てもできるものとできないものがある。


 それから、ほぼ毎日8時半前に待合室に訪れ、統括・首席が対応にあたり、わたしにも、電
話を毎日2回〜4回してきたが、その度に誹謗中傷の雑言を浴びせられた。


 とうとう、最後に根負けした様に、3月の初旬には、あなたに色々言ったが、あなたに恨みは
ない。(本当かな?)そのことは誤るが、地図を直す方法は無いものか、とうにかして頂きたい
旨の電話があったが、しかし、どうしようも無いものはしかたない。


※この事案は、当初申請の段階で相談があれば、その手続きで調査士さんも当然その説明
ができたであろうと考えられるものである。当然、原因となった元々の分筆の時点での処理が
まずい事は言うまでもない、登記所、調査士さんとも反省すべき事案であるが本局において
は、2〜3ケ月に1回程度は、遭遇する事案である。


 その申請人にもいろいろあり、多くは声を荒げ、恫喝する事により、公務員を自分の思うとお
りに動かそうとする者である。

 こういった事案の多くは、現実には調査士事務所で止まって、登記所に持ち込まれるものは
その一部であると思われる。


 調査士さんの犠牲的行動・助言によって、未然に登記所は守られていると言ってよい。

 感謝する共に、今後とも宜しくお願いしたいものである。



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