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筆界点間の距離および引照点・準拠点からの距離は、光波測距儀もしくは鋼巻尺を使って 測る訳ですが、皆さんは、ご自分の光波測距儀・鋼巻尺で測った時と他の先生方のお持ちの 光波測距儀・鋼巻尺で測った時にその結果が違っていたというような経験はありませんか。何 故このようなことが起きるのでしょう。 まずは、お手持ちの光波測距儀の距離の精度を御存知でしょうか。距離の精度は仕様一覧 表を見ると、少し前の機器だと標準偏差または平均二乗誤差= ±(5+5ppmD)mm D;測定距離・単位メートルと記載があります。最近の新しい機器ですと±(3+2ppmD)mm等 の記載があります。少し乱暴ですがppmのついた第2項は微小であるから(D=100mの場合 第2項は、5×0.000001×100000=0.5mmまたは0.2mm)これを無視してみると、この機械で測 距した時は、求めようとする2点間の本当の距離より+5mmから−5mmまたは+3mmから −3mmの範囲で長い値がでたり短い値がでるという事で、最大1cmまたは6mmの誤差を持 つという事になります。 それぞれの測距儀は常に長めに又は短めに測るといった、機械固有の癖(機械誤差)をもっ ているのです。機械固有の癖を認識して距離の測定をしなければ、いくら細心の注意を払って 筆界点に機械およびミラーを設置し、気象補正(気温、気圧)を行なって観測しても、我々土地 家屋調査士が日常観測している距離(短い距離)では高い精度は得られない事になります。 (公共測量作業規定では50m未満の距離の測距を光波でおこなうことは認められていませ ん。) さて、我々が使用している50mの鋼巻尺は、総て同じ長さでしょうか。 市販の鋼巻尺は、下記記載の公差を持ち検定がなされているとの事です。
従って、市販の50mの鋼巻尺は最大±10mmの制作誤差まで認められた製品(現実には ±10mmの制作誤差を越えるものもある。)であり、それぞれの巻尺は固有の誤差を有して いる事になります。巻尺の持つ固有の誤差は尺定数と呼びそれぞれの巻尺でその値が違いま す。 たとえば甲土地家屋調査士の持つ50m鋼巻尺は49m99cmの長さであり乙土地家屋調査 士の持つ50m鋼巻尺は50m1cmという場合、甲土地家屋調査士と乙土地家屋調査士が同 一の筆界点間を張力10kgをかけて(斜距離を)測定した時、50mで2cmの差が生じる事に なります。 光波測距儀若しくは鋼巻尺の持つ誤差を消去しないで何回測定しても、mm単位の高い精 度を持った結果は得られないという事です。 我々が一筆の土地を測量する場合、距離と角度を観測して筆界点の位置を求めているので 距離の補正を行わないと測量の方法によっては、実際の土地よりも大きく測ったり、小さく測る 事になり地積にも影響を及ぼし、土地の位置が平行移動する等トラブルの原因にもなりかねま せん。 では、どのようにすれば誤差は消去できるのでしょうか。 (1)鋼巻尺の場合 自分の持っている巻尺の本当の長さを知る必要があります。 ここで登場するのが皆さん御存知の比較基線場です。この基線場を使用して鋼巻尺の比較検 定を行い、どの程度の尺定数を持っているかを調べます。尺定数(50mから何mm長いか又 は何mm短いかという数値)が求まり、それぞれの巻尺に張力10kgをかけて測った長さ(斜 距離)について尺定数補正を行い、更に傾斜補正・温度補正を行えばいわゆる水平距離が求 まります。 (2)光波測距儀の場合 光波測距儀で50mの比較基線場の距離を測定し、測定距離と基線場の長さを比較する事 により測距儀の持つ誤差のおおよその価を知る事が出来ます。 比較基線場がない場合は、光波測距儀及びミラーを次ページの図の如く、一直線上に設置 (高さ一定)して、AB、BC、AC間の距離の測定を各5セット程度行い、その平均値を求め、A B+BC−ACの計算をすればそれぞれの光波測距儀の持つ機械誤差(一定の値)が求まりま す。 以上(1)(2)の方法で光波測距儀・鋼巻尺の持つ誤差を把握する事をおすすめします。甲・ 乙両土地家屋調査士が同一の点間を測ってそれぞれ求めた距離の補正をしておけば、同じ 物差しで測ったと同じ事になり測定結果が大きく違うといったトラブルは防げるものと考えま す。 比較基線場の設置には多額の費用が掛かりますが、正規の基線場でなくとも仮基線場とい うようなものを作っておけば、所有している鋼巻尺・光波測距儀の検定がいつでも行えますの で各地域毎にお作りになってみてはいかがでしょうか。
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