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先程から、いろいろな事を申し上げてきましたが、公共座標で測量しても訳の解らないスライ ド量なんてものが発生するんだったら、任意座標でやった方がよっぽど仕事量が少ないし、費 用面でも良いじゃないか。 こう思われてしまっては元も子もなくなるのですが、後々の境界の復元をする為の信頼性が 違います。基準点総てが、その境界を復元する為の座標を持っている訳で、現地が全くわから なくなっても復元が出来るという事になります。 この事に関しては、現地が全部わからなくなったら、調査士の責任はそこで終了するとしても 良いのだから、それの方がいいじゃないかと思われるかもしれません。 しかしそれでは、専門家として一般的な基準から見て高い料金をとっていると思われている 我々調査士が、料金や大きな事を言っているわりには何も役に立たないじゃないかと思われ ても仕方ありません。 国土調査の図根多角点。ここでお話をしております図解法による国土調査の時代、図根三 角点は国土調査の為に国土国土地理院が作成した四等三角点を使用して三角法で、図根多 角点はそこからトランシットとテープで観測作成されています。 現在、我々が使用している光波測距儀では水平距離が一発で表示され、トラバース測量に おいては、その観測された水平角と水平距離でいきなり計算をしてそのまま結果とされている かもしれません。 しかし、2、30年前のトランシットとテープでの観測であった国土調査の図根多角点は、テー プの補正、傾斜補正、投影補正、縮尺補正がすべて計算されています。 ちょっと気を付けていただきたいのは、わざわざ基準点と断っておりますが、国土調査の図 根多角点とどうちがうのだろうと思われるでしょう。 各種の補正もしていいるし、それだったら、国土調査の図根多角点も基準点と違いは無いじ ゃないか。図根多角点からの測量が新しい基準点と比較して、あんなスライド量が生じるんだ ったら、何等公共座標にしても意味が無いじゃないか。 そう思われるのでしょうか。しかし、国土調査は地籍調査作業準則により、一方基準点は、 建設省公共測量作業規程により作成されています。 どうしても国土調査の場合、大量の境界を短期間で測量する為に、比較的観測の制限が緩 やかであり、同級程度であるはずの図根三角点と2級基準点を比較しますと、全然比較が出 来ない状態で、図根三角点は大体その下のクラスの3級基準点と同等かそれ以下と言われて おります。そういった事から国土調査の作業規程も今後建設省公共測量作業規程に準拠する 方向になっているようです。 しかし、そういった国土調査の図根三角点や図根多角点でさえ、すべての補正をおこなって いるのですが、現在の我々がいきなり、水平距離だけを使用する測量で良いのでしょうか。 少なくとも、測量をする以上、最低限度の事は知る必要、いや、やる必要があるのではないで しょうか。 また、ここでスライド量の話をしましたが、後日の復元の際に、このスライド量を極力最小限 にする努力。後日他の調査士から後ろ指をさされないようにする為にも、自分の一人よがりの 方法では無く、公に通じる、測量方法により測量すれば、何等問題は無いでしょう。 そうはいっても、建設省公共測量作業規程なんて、我々には関係ないよとおっしゃるかもしれ ません。 しかし、建設省の用地測量については、この規程により行なわれているのです、おなじ1筆地 を測るのにも、他業種の測量会社は最低でもこの程度は行うという事なのです。 本来の専門家である我々は決して、それ以下であってはならないのです。 基準点と、今までの我々が行っていた多角測量とはどう違うのか。各種の補正があります。 これだって、そんなに難しいものではありません。我々がその測量方法に慣れていないだけの 話なのです。器械高・反射板高の高さを測る手間。距離の測定の際に気温、気圧を測定して、 光波測距儀の中に入力してやる。標高の解っているものについては、総て調査を行う。 距離は斜距離を測定する。鉛直角は双方から観測しておく。角度の観測は水平角は2対回 以上、鉛直角は1対回を行う。 今までの、単純に観測は1回だけの半対回の水平角観測。そして水平距離の観測だけか ら、これらを追加してやれば良いのです、時間にして観測点1点について、せいぜい10分程度 余分にかかるだけなのです。この事で後の再測が防げるとしたら、そして信頼度が飛躍的に 向上するとしたら、 計算方法にしても、計算ソフトが無いと言われるかもしれませんが、通常の計算ソフトでも、 この補正後の値で計算をするならば、後から、指摘される事は無くなります。 今ほど、本当の調査と測量の能力を備え持つ土地家屋調査士が必要とされている時代はあ りません。そしてそれに答える事が出来なければ、土地家屋調査士の資格はこの世から無くな るかもしれません。
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