高岡町基準点設置作業 14

               ( 点検測量 )



  平成20年12月3日、午前8時丁度、調査士会館駐車場に集合。

  本日は、点検測量の予定である。


点検測量の道具は

   空飛ぶ調査士のM好さん、駐車場での集合での待ち時間中に昔、自分の業務で使用していた

  測量器械を持参してこられた。

   年季の入った皮製の収納ケースである。

   先代からの調査士・測量業を営まれ、業務暦も長く現在お目にかからなくなったコンパスや

  1分読みのセオドライトも大事に保存されている。

  1分読みのセオドライトはバーニヤ式の目盛りである。


   皆、興味深く覗き込んでいるが、老眼おっさんの老眼には鬼門である。

   触らぬ神に何とやら、遠巻きに見ていると「今日の点検測量はこれでやるか。」

   と冗談も飛び出す。

             

               コンパス           1分読みのセオドライト
                                磁石が付いている


点検測量開始

    目の保養が終わったところで、全員に手簿が配布される。

    本日の点検測量を行う観測点について、前回観測した手簿をパソコンで打ち出したものだ。

    今回は、前回の観測と同様の器械高、目標高にして観測しなければならない。


    全観測点の5パーセントの点検ということで20点ほどの観測を行う。

    「N本さんは背が高いので、合わすのが大変」といいながら測量屋さんも器械の高さを調整。

    視準高も、ミニプリズムの高さも配布された手簿の写しを見ながら、自分の受け持ちの場所

   の高さを前回観測時と同一の高さに合わせる。


                

          一見低い器械高、実は水路側の足場は20pほど下


    前回の観測値や観測差・倍角差は打ち出された手簿に計算されており解っている。

    観測の制限を10秒までで実施しているものを、再度観測する。

    正確な観測を正確に観測すれば、そのものずばりで簡単なんて言えるはずも無い。

    前回の観測よりも、更に精度の良い観測で無ければならないという使命感に燃えてしまう

   二人だった。


   だが、観測条件により、観測結果に相違が見られる場所も。

   図根多角点T4105では思わず

   「ありゃ、ここは自分が測った場所なのに。」と測量屋さん。

   観測値の中数が10秒近く相違したらしい。

   「仕方ないですよ、前回は日没間近の観測条件だったから。」とS松さん。

   今回は午前中の条件のよい状態での観測であり、相手は再測量を繰り返す事になった

   T4104である。


   一度躓くと、最後まで何かしらひっかかる事になる。

   老眼おっさんからしてみれば、17mほどの距離で10秒の相違は水平位置で0.8oほどの

  相違である。


   良くこの程度で収まったと胸をなでおろすところなのだが、どうも観測に対する几帳面さが違う。

  一人反省する老眼おっさんである。


電話連絡

   迷惑おっさんの携帯電話に公共嘱託協会の事務長から連絡が入る。

   測量協会の技術センターから、公共測量の検定に出していた申請書が帰ってきたとの連絡

  である。


   今回の図根多角点測量の与点になる3級基準点松法3−37と3−38は公共測量の検定を受ける

   必要があり、迷惑おっさんと測量屋さんが作製して、測量協会に提出していたものである。

    測量屋さん「付箋が蛸足のように一杯ついていたら、どうしょう。」

    迷惑おっさんは平然としている。


点検測量と大愚痴

    点検測量も団地の中に入って行く。

    観測の為にプリズムを設置していると、北側の家のおばあちゃんが洗濯物を干しながら

    「何をされているんですか。」

    「はい。高岡町の地図を作るということで、基準になる点を測量しています。」

    「ああそうですか。寒いのに大変ですね。」

    ニコニコしながら、お家に入っていった。

   観測が終わり、今度はその地点に測量屋さんとS松さんの観測本隊がやって来た。

   器械を据付け、高さも調整して観測を始めようとしていると、今度は南側の家のおばさんが

   測量屋さんに 「何をしているんですか。」

   「高岡町の地図を法務局が作ることになりまして、今回はその基準点になる点を予め測量し

   ております。


    予算の関係上、来年度から一筆を測ることになります。その際には皆さんにお立会いをして

   いただくことになるのですが、詳しい事は事前に法務局から公民館とかでご説明があると

   思います。」


    「そうなの、でも、今日は粗大ごみを出す日だったから、私が居たけれど、居なかったら何も

   説明してくれないのでしょう。お役所がやるのだったら予め回覧板で住民にも知らせておくべき

   でしょう。」


    「はい、ごもっともです。」


    測量屋さん、S松さん、直立不動で対応している。

    「私が自治会の役員だった頃は、皆に通知していたのに今の役員さん達はそんな事してくれな

    いから。」

     「そうですか。」


    ひとしきり、お叱りがあった後

    「ところで、道路に山から土砂が落ちてきて困るのだけど、どこに言えばいいの。」


    「まずは、土地の所有者でしょうけれど、道路の管理ということで市役所に言えばいいのでは

    ないでしょうか。」

    迷惑おっさん、老眼おっさんも途中で何事だろうと気づき、近づいて会話を聞いていたのだが

   事を大きくしてはならない。

   壁に隠れこっそりと眺めることにした。


    他人の不幸は大きいほうが・・。

    1つの場所の観測時間と同様の時間が流れた・・。


忘れられたついたて

    バス路線の観測準備中、K石さんが嬉しそうに

    「ここに、ありました。」

    コンクリート製の雨水桝の上にそのまま残されていたついたてを見つけ、手にかざしている。

    前回の観測で撤収するのを忘れ、現地でそのまま雨ざらしになっていたようである。

    ピンポール、ミニプリズム、ターゲット、三脚、ターゲットについては毎回観測終了の度に

   数量の確認をしている。

   ついたてについてはどうしてもチェックが甘くなってしまった。

    図根多角点の観測をしている者にとっては大事なついたてだが、地区の方にとってはガラクタ

   である。

    価値を見出されず4日間そのまま放置されていた。


    我々の身にも同様な事が・・。


自社器械検定・角度

    午前中の観測が終了。

    お昼休み、弁当の時間である。

    T永さんとK石さんが本日の買出し係である。

    荻やんの車を借り、2人がいつものスーパーへと向かう。

    他の者は昼食をとるために、いつもの公園に向かっているはずだったのだが、N本さんと

   測量屋さんは途中にある分譲中の団地へと入って行く。


    団地の中の小さな1区画、隣の土地との境界に築かれたブロック塀にかかった看板には

   「ここは公園ですので無断で駐車しないでください」と書いてある。

    しかし、公園といえるような施設は何も無い。

    開発の関係上、団地内の1区画を公園とする必要があったようである。

    この公園前にある図根多角点からの観測が、今から観測するための条件が揃っているらしい。

     公園前の図根多角点を中心にして、90度間隔の配置、距離も40m前後の等距離にある3方

   向について機械の角度の点検を行うことになり、観測方法は3対回の2セットとの事だ。


   N本さんが最初に0度輪郭の観測を開始、順次0度、60度、120度輪郭の1セット目を行う。


   3対回観測には慣れているN本さん順調に観測を終了する。

   「今度は30度から始めて。」迷惑おっさん

   「えっ、30度ですか。」


   30度、90度、150度輪郭の2セット目を行う。

   「何が、何やら分からなくなりました。1セットはいつもやっているけれど、3対回2セットは

   やったことが無いです。これでいいんですかね。」


   観測の名手N本さんさえ、こんな弱音が出る。

   「私は、やりたくなかったんです。だから、じゃんけんにしようと言ったでしょう。」と測量屋さん。

   「器械の自社検定をしておかなければならないのよ。はい、次は測量屋さん。」


   測量屋さんの抵抗もむなしく、同様の観測が行われる。


   でも、二人にとっては朝飯前。いえ昼飯前の観測でした。


スーパーさんすいません

   施設の整った公園に到着。

   今日が現場での最後の作業。

   楽しみは昼食だけ、当然のように大盛の弁当を期待している。

   そこへ、いつものスーパーのレジ袋を下げながら二人が帰ってくる。

    お弁当を覗き込むと、おかずがえらく少ない、えらく貧相なお弁当である。

   これでお腹一杯になるのかと近寄って見ると、ご飯が容器からはみ出しそうになっている。

   ご飯の量が多すぎて、おかずが少なく見えている。

   ゴムで止めた蓋からご飯がはみ出している。

   すべての弁当にふりかけと梅干もしっかりと添えられていた。

   スーパーさんすいません、やっぱりK石さんが悪いのです。

   K石さんの腕章にはT永と書いてあったような・・・。


自社器械検定・距離

   昼食後、残った点検測量を済ませる。

   時間は午後3時を過ぎている。

   調査士会館に全員引き返す。

   調査士会駐車場に設置してある基線場での距離チェック。

    以前、各支部に基線場を作った時に便利な場所にも作っておこうと作製した場所である。

    基線長は39.40453mである。

    駐車場奥の花壇のコンクリートの土留めに設置した金属鋲から駐車場の入り口に設置した

  金属鋲までの長さのはずである。

   コンクリート土留めの金属鋲にTSを、入り口の金属鋲にミニプリズムを設置した。

  39.4045mのはずが・・・。


   迷惑おっさんのTSでも、N本さんのTSでも39.400mである。

  二人のTSの距離表示が間違っているのか。

  基線場の鋲が異動しているのだろうか。


  基線場設置の際に、駐車場入り口の道路部分にも鋲を設置している。

  3つの鋲は直線上に設置したはずなのだが、TSで確認してみると直線になっていない。

  とりあえず、道路部分からの距離を観測し、差し引き計算をするが、いずれの器械でも

  39.400mである。


   二つのTSの距離観測自体は正しいようだ。

   誰かが車でぶつけたのだろうか。

   「前に、チェックした時は大丈夫だったんですれど。」測量屋さん。


   「今から、重信川の河川敷で測ってこよう。」迷惑おっさん。


   これから、重信川に行って観測していては日が暮れてしまうほうが早い。

   後日、今治支部の基線場で検査をすることになった。


      

           調査士会館駐車場基線場での観測風景


   迷惑おっさんとN本さんが今治支部の基線場でTSをチェックしたところ2台とも少し短め

  (最大2o程度)であるが良好な結果だったそうだ。


   この後、K石さんの器械でも同様であったことから、駐車場の基線場はどうも季節により

  変動があるようである。

   コンクリート構造物に鋲を打ち込んだだけの簡易的な施設であるためアスファルト舗装の

  収縮による。


   車をぶつけたためコンクリート構造物ごと移動した等、原因はいろいろ考えられるが、しばらく

  は調査士会駐車場基線場の使用は見合わせた方が良いようである。


基準点検定結果

   会館の会議室に戻ると、測量屋さんが基準点検定書を事務長から受け取って戻ってきた。

   横から測量協会からの送付書の文面を見ると

   「全般的に良くまとまっている申請書です。・・・。測量規程の改定を踏まえての指摘をいたし

  ました。」とある。 

   付箋のついた位置の指摘事項は国土交通省公共測量作業規程の解説と運用や記載例を

  めくっても、申請書に記載したとおりで、指摘事項は異なる記載方法である。

   現在は申請どおりですが次からはこのような記載方法になりますので注意してくださいという

  意味での付箋のようだ。


   作業規程の内容を熟知している迷惑おっさんと測量屋さんだからこそ対応出来るので

  知識の乏しい者にとっては難しい申請である。


● 観測手簿 同じ観測点を同じ者が観測(点検測量と本番の手簿)




● 上と同一点の点検測量結果(観測者同じ)




● 同一点を別の観測者が観測した手簿




● 上と同じ観測点の点検測量結果




● 同一観測点で別の機器、観測者で行った自社検定の結果

      


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