高さ 3

(鉛直角観測の相違する一つの理由)


●偏心観測

 何気なくみていたが、小学校の校庭の片隅に表示してある経度・緯度の表示もなかなか秒以
下の記載があるところは少ないようである。
 今まで分単位でしか記載がなかった僻地の小学校に、教育の一環として子供達に測量という
事を知ってもらおうと、学校の校庭の隅に、3級基準点を作製して、経度・緯度の表示を小数
点4位まで出そうと言う事になった。仲間に相談したところ、全員気持ちよく協力してくれる事に
なりGPSの観測でやる事になった。取り敢えず3級基準点2点の現地での設置と以前トータル
ステイションで作製した2級基準点を与点として使用するにあたって、上空の視通が悪いので、
現地の人間が先行して偏心をしておけという事になり、一応偏心の観測を終了したので、恐い
恐いW氏に電話で報告。
「あのな。3級基準点の設置は終わったよ。そして偏心の所なんやけど、観測は終わったんや
けど・・・。」
「どうやったですか。」
「GPSの偏心やから、偏心点と本点、そして後視点の与点は全部視通が効くんよ。それで3個
所で器械高・反射板高ともすべて140センチに統一して、それぞれの水平角(内角)。
鉛直角。斜距離。比高は一応観測したんよ。」
「偏心の距離はどの程度でやったんです。」
「20メートル程度よ。」
「与点間同士の距離が450メートル程度やから、まずまずですね。」
「確認のため観測した他の2点の水平角も含めて、三角形の内角を観測した形になるので、そ
の閉合差は10秒だったから、腕が悪いのかな。」
 今まで、散々腕が悪いだの、器械の据え方が悪い。と暗に言われている。今回もきっと言わ
れるに違いない。
「偏心点と本点との距離が短いから、その位は仕方ないですよ。」
あれあれ、いいの。



● 器械高と反射板高

 ちょっと気が抜けた。お許しが出てしまったか。今日の電話で駄目と言われたら、もう一度観
測をする予定にしていた。良かった。
 「許してくれるん。ありがとう。それで、高さというか鉛直角の方なんやけど、全部同一メーカ
ーの器械で光波測距儀を1台。反射板を2台持っているんで、観測する3点全部に、光波測距
儀なり反射板をみんな140センチの高さにして一斉に据え付けたんよ。」
「高さは、きっちり合わしとるん。」
「ちゃんと何回も測ったよ。それで、据え付けた三脚はそのまま残して、上部の光波測距儀と
反射板(ミラー)を入れ替えて観測していったんよ。」
「器械の高さと反射板の高さ、同じでしたか。違っているんじゃないですか。」



●高さが違う

 「それなんよ。僕のはシフト式やろ。それで求心は据え替えを行う度にやってその度に器械高
と反射板高も測り替えをしたんよ。そしたら偏心点と本点の観測の時よ。偏心点での観測の
後、本点に光波測距儀を移し据え付け後、器械高を測ってみたら4ミリ高いんで三脚を据え直
したんよ。反対に偏心点に反射板を据え替えて反射板高を測ったら4ミリ低くかったんよ。」
 高さの違った分は、再度140センチに直して観測。その結果は鉛直角の双方からの正反の
較差は6秒程度であった。念のためと確認した比高も、双方からの較差も1ミリであった。やっ
ぱり光波測距儀の高さと反射板の高さが違っていたようだ。
 「いや、あるんよ。同一メーカーでも製造年度によって高さが違っている時があるみたいよ。
僕が使っているメーカーもそうやったよ。」
 「そうなんよ。今度は後視点の与点に光波測距儀を持って移動して据え替えした後、高さを
測ると高さは同一の140センチやったんよ。今までこの組み合わせやったり、前の組み合わ
せやったりしたんで、解らんかったんやね。」
 現場では無く、落ち着いて事務所の中で、それぞれの高さを確認すれば簡単に解ったのだろ
うが、同一メーカーという事で高さが同一と信じ込んでしまっていた。今まで偏心をした時の近
い距離での鉛直角の観測を行うと、双方からの鉛直角の較差が15秒程度あり、片方の与点
を観測した長い距離で、高低差のある場合でも同程度の鉛直角の較差があり、その理由が解
らず、自分の腕が悪いものだとばっかり思っていた。迂闊。


たそがれ調査士達のGPS奮戦記
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